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コリ企画代表の比護です。
私は、娘の出産から、彼女がティーンエージャーになるまでバンコクで子育てをしました。タイで子育てをすることができた『ワーキングママ』の私はとても恵まれていたと思います。生まれてから小学校の中学年ごろまでは、かなり手がかかりますよね。その中で育児、仕事、家事をジャグリングしながら生きていくのは本当に、本当に、本当に大変なことです。
ブルドーザーやジェット機のような私の仕事っぷりをご覧になっている方に、娘の存在を話すと驚かれることが多々あります。「いつ出産したの?」「いつ寝ているの?」「いつ子育てしているの?」と聞かれますが、育児、仕事、家事をフルスロットルで満喫しながら乗り越えることができたのも、タイの寛容かつフレキシブルな社会と人々のおかげだと信じてやみません。
タイっぽい?娘の画像とともに、私のタイでの子育てストーリーにお付き合いいただければと思います。(画像と記事内容は必ずしもリンクしておりません。)
タイでは、お手伝いさんや乳母さんといった使用人を雇用する機会が日本に比べて多いです。我が家にも住み込みの方を含め、掃除・洗濯などの家事以外にも娘の世話や相手をサポートしてくださる使用人の方がいました。「家族」の一員として同じ屋根の下でアシストしてくださることがどれだけ助かったか。我が家の使用人の方々はミャンマー人やタイヤイという山岳民族の方などがおり、ビザや就労許可証の手続きが少し煩雑なこともありましたが、何年も一緒に暮らし、自国へ戻った現在でもSNSを介して娘の成長を見守ってくれています。
タイの方は子どもに対して大らかな方が多いと感じます。「みんなで育てよう!」という空気感があります。同居する使用人の方々のみならず、会社の仲間、近所の人、学校の先生、習い事先のスタッフの方々、よく行くお店の店員さん、飛行機のCAさん、とにかく、皆さんが色々なシーンで優しい言葉をかけてくれ、手を差し伸べてくれた想い出が一杯です。
弊社は撮影のコーディネート業も営んでおり、過去には数か月に及ぶ映画やドラマの撮影に従事することもありました。義母や乳母などに連れられて、何度も現場にやってきた娘を、出演者をはじめスタッフの方たちは楽しそうに迎え、仕事の邪魔にならない程度に上手に対応してくださいました。周囲の方々が優しく丁寧に向き合ってくださることで、日本だと実現が難しいような育児も可能となったのではないかと思います。
タイでは女性の社会進出が日本に比べると顕著だと思います。女性の経営者の方、管理職の方でお子さんを何人も育てていらっしゃる方も複数名存じあげております。日本とは異なった住環境なども影響はしていると思いますが、社会の皆で協力して、助け合いながら子どもたちを育てようという気持ちの持ち方が少し違うのではないかと感じたりします。私は組織の首長として、タイで起業し、タイで育児を経験できたことが人生の中の大きな幸運の一つであったと日々感じています。
日本人とタイ人のミックスとして、第一言語が英語で育った娘は、日タイ欧米各地の文化、習慣、価値観に触れる沢山のチャンスに巡り合うことも出来ました。タイ人の父親の実家があるタイ東部の町では、地元の人が果樹園に行く際にピックアップトラックの荷台に座って移動したり、バンコクの自宅では使用人の方々が作ってくださるミャンマー料理を頂いたり、インターナショナルスクールの多国籍同級生の家に遊びに行く度にその国の文化に触れたり、タイならではのお祭りに参加したり、とにかく毎日が色鮮やかな経験に彩られていたと思います。
現在の日本でも「多様性を学ぶこと」に重きが置かれ、外国語教育等にも力が入れられているのかと存じます。「人種のるつぼ」「多様性に対する受容性がある」タイで13年に渡り娘を育てることが出来たのは、娘に大きな視野と多角的な経験を与えたと同時に、まさに「育自」、親としての私が己を育てることもでき、新しい発見や学びに溢れていました。
育児に関して、ああすればよかった、こうしておけばよかったという振り返りから生まれる後悔はどなたにでもあるのではないかとお察しします。今振り返れば、あんなにも恵まれた環境におかれていた私はもっと工夫できたことや娘に伝えることができたことも沢山あったと思います。しかしながら時間を戻すことは出来ませんから、私の経験を他の方にお伝えすることで、それが有益な情報となり、女性が働きながら育児をすることへの光や勇気となることを願ってやみません。