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石井米雄先生との出会い

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石井米雄先生との出会い

1997年4月、石井米雄先生の著書「道は、ひらける――タイ研究の50年」を一晩で読み切りました。それ以外にも先生が執筆されたものを東京外大在学中に、沢山拝読させていただきました。タイ研究の神と言えば石井米雄先生です。


2005年、バンコクのナイラートパークホテルで開催されたイベントに足を運ばれると伺い、そのエレベーターの中でお話をさせていただくチャンスが私に舞い降りました。私は丁度、娘を妊娠中で、ひどい悪阻も忘れて喜びが体中を駆け巡りました。


石井先生から溢れ出るオーラは限りなく綺麗で、偉大、そして、他者を温かく包み込みます。
その日の交流は3分にも満たなかったのですが、出逢えたことで「私の道」、「生き方」は大きく開けていったと言っても過言ではないと思います。そこから少しの時を経て、仏教書三印法典のコンピューター検索システム『三印法典コンピュータ総辞索引』の開発を手掛けさせていただく機会を頂戴しました。


石井先生とお仕事をご一緒させていただけることを心から誇りに思いました。


ある日、「パソコンの調子が悪いので、新しいものを買いに行きたい。」と仰りました。パンティップ(バンコクでパソコンなどの電子機器を多く扱っている商業施設)に足を運びたいので一緒に行きませんかというお話でした。先生と二人でタクシーに乗り、出かけることになりました。


気軽にお話を差し上げて良いのか不安だった気持ちを覚えています。すると、先生が、「東京外大のタイ語学科卒業なんだってね。」と仰りました。私のバックグラウンドをご存じいただいていることに驚くと同時に、その後の先生の発言に、大笑いをし、その会話がアイスブレイカーとなり、その後、温かい父娘のような関係になったことを今でも鮮明に覚えています。


包み込むように暖かくも、少年のような笑みを浮かべながら、「東京外大卒業で、こんなにもしっかりした英語、タイ語が使えるなんて、珍しいね。学生時代は飲み会の方が多かったでしょ?」と。(石井先生も東京外大に通われていました)


先生の圧倒的な語学力、コミュニケーション能力の高さ、他者を思いやる気持ち、そしてあの暖かい笑顔は私の中で生き続け、心が折れそうになったり、辛いことが続いた時は、先生からのメッセージが入った本を開き、あの笑顔を思い出します。


その後も、先生から直接、多くの学ぶ機会を頂戴しました。タイ研究の神様である石井先生に、「日タイの間でこれからもっと頑張ってやっていくんだよ」と強く、優しく言って頂いたことは私にとっての大事な宝物です。先生のように偉大な研究も功績も残していませんが、未来の子供たちが少しでも広い視野を持って、社会の中で生きていく道を開いていきたいと常に思っています。


真摯に、丁寧に、相手の気持ちを慮りながら、協調に重きを置き、最後まで責任を持ち、やり抜くことの大事さを教えてくださった先生との出会いは、その後の私の20年の人生の大きな指針の一つです。