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優しさの輪

私たちの事

優しさの輪

バンコク本社の田中です。
今日は少し子育てのお話にお付き合いいただけると嬉しいです。

子育ては日本でも海外でも大変なことですが、私の場合は心配性な性格もあり、なかなか心配ごとが絶えません。そんな時に他人からいただく優しさは、本当に身に沁みます。

私にとって、いくつか忘れられない出来事があります。

まずは日本で。当時息子は2歳になるかならないかの時期で、眠くなると両手両足をじたばたさせて、どこであろうと大泣きしました。体格の良い息子が暴れると抱っこもままならず、床で暴れるのを落ち着くまで放っておくしかできないような状況でした。その日はたまたま息子の機嫌がよく、私はあろうことかお昼時の駅ビルのうどん屋さんに入ってしまいました。どうしてもうどんが食べたかったんですね・・ところが食べ始めた途端に息子がぐずりだし、とても店内にいられる雰囲気ではなくなりました。

荷物もバギーも置いたまま、息子だけを抱えて飛び出し、落ち着くのを待ちました。どうしてうどん屋に入ってしまったのか・・食べずにおいてきたうどんや、他のお客さんのことを思うと泣きたくなりました。

ところがお店に戻ると、ご主人が、「作り直すからあったかいの食べてって」と、新しくうどんを作ってくれたのです。食べる間は、奥さんが起きた息子を抱っこしていてくれました。

湯気のあがるうどんをゆっくり食べられたのなんて、いつぶりでしょうか。てっきりお店に怒られると思っていた私は、あまりの温かい対応に言葉を失ったのでした。いつかあのうどん屋さんには、大きくなった息子を連れて再訪したいと思っています。

そして今。バンコクで子育てをしていると、うわさに聞いていた通り、皆さんとてもよくしてくれます。

息子が赤ちゃんの時には、デパートへ行くと買い物をする間、店員さんが交互に抱っこしてあやしてくれていました。電車でもさっと席を譲っていただく機会が多いです。学校の長期休暇の時などは、仕事の現場に子供がいることもよくあります。

先日、よく利用させていただく日系の飲食店から連絡があり、卵を除去している息子のために、卵抜きのハンバーグ弁当をわざわざ作ってくれるというのです。その半年ほど前、他のお弁当を頼んだ時に、息子の卵アレルギーの話をしたことがありました。それを覚えていてくれたのです。

今タイでは店内飲食も禁止されており、飲食店もバタバタと閉店しています。そんな中、息子のためにと特別なお弁当を作ってくれたことは、とても嬉しくて心が温まる出来事でした。ハンバーグ、とっても美味しかったです。

苦しい時期だからこそ、ちょっとした好意や一言が、人を救う大きな力になることを、身をもって感じています。そして子育てに限らず、誰かからもらった優しさを誰かに返せる人に、私もなりたいと思います。